2011年3月11日金曜日

曇り日の卵焼き、、、、のち晴れ!

この時期のバンクーバーでは季節的な鬱状態になる人が多いです。
春日和と思えば雨降りそして曇り日が続くから。

心が折れそうになったり、心配事があるときは
葱のみじん切りのいっぱい入った
出汁巻き卵をつくることにしています。
出汁巻き卵をフライパンのなかで
レイヤーに巻いていると
瞑想状態に近い気分になって
気持ちがすっきりします。

中学生の頃から、朝4時起きでお弁当を作っていたほどの
料理好きの私は、母が5歳の時に他界したため、
見本料理は、父親が連れて行ってくれるホテルのレストランや
フランス料理店、、、とくに和食は「千代川」という
瀟酒な料亭で出してくれる幕の内弁当でした。
目の前に置かれた幕の内のきれいな料理の
一品一品を息をのんで見つめたものです。
“お料理はきれいじゃなくてはダメなんだ!”と
いつも思っていました。

大学生になった時、その頃の彼と、
お互いお弁当を持ってきて
交換して食べよう!と提案し、無理矢理実行に移し、
翌日、「どうしてお弁当なんか持ってくの!?」
と変な子扱いされて、作ってもらったという
彼のお母さんの手作り弁当を開けたら
ふわっとしたとてもいい匂いがしました。
そこにはみじん葱が入った大きな卵焼きがひとつ
ご飯の横にのっていたのです!
形は、、、お世辞にも、、、きれいではなく
下町のお母さんなので、形にこだわらない気安さのある形で、、、
でも、ひとくち食べたら、あたたかい優しい味で
身体中がしあわせで溢れました。
初めて知覚する、お母さんの味、お母さんの手触りでした。
その卵焼きは、あまりにも美味しくて、
いまでも喉の奥の味覚に刻まれています。

"お料理は、きれいに、やさしいお母さんの気持ちで作る"
それからは、そんな風に思うようになりました。

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